目次
テンセント(Tencent)とは
テンセント(Tencent)は、アプリとゲームの収益で中国一の企業です。
”QQ”や”WeChat“のようなメッセージアプリで集客しつつ、”王者栄耀”のようなゲームで稼いでいます。
簡単に説明すると、LINEやFacebookのようなサービスを手がけながら、任天堂のようなゲームも提供しています。
そのため、アプリとゲームの両輪で稼いでおり、独自の成長をしています。
※テンセントは米国には上場しておらず、香港市場に上場しています(米国株ではなく中国株になります)。
主なサービスはこちらです。
・QQ
…PC向けのオンラインメッセージアプリ
・WeChat
…スマホ向けのオンラインメッセージアプリ
・QZone
…SNS機能を提供
テンセントは、広告収入以外の収益の割合が高いネット企業です。
フェイスブックやグーグルの売上高のほとんどが広告収益です。
一方、テンセントはわずか17%しか占めていません(2017年通期)。
広告分野の業績は、まだまだ伸びる余地があると思います。
中国がキャッシュレス社会になった大きなきっかけを作った、テンセントCEOの躍進に迫る https://t.co/d6EGzcjXwS pic.twitter.com/nDomWDkJfe
— ブルームバーグニュース日本語版 (@BloombergJapan) July 24, 2018
テンセントは、パソコンからモバイルへの転換で大成功した企業です。
バイドゥがパソコン向けサービスからモバイル向けにうまく転換できませんでしたが、テンセントはモバイルへの転換に成功して事業成長しました。
WeChatは、テンセントが提供するメッセージアプリです。
中国の月間アクティブユーザー数は、9億88百万人にも達しています(2017年通期)。
WeChatは、日本のLINEのようなイメージで良いと思います。
ただWeChatは、ただメッセージを送るだけのツールではありません。
例えば、WeChatでは、買物や公共料金の支払い、ゲームや動画を視聴したりすることができます。
テンセントは、”WeChat”のような10億人近く集客できるサービスを提供していることが大きな強みになっています。
WeChatは、中国独自の面白い機能もついています。
例えば、WeChatには”シェイク”という出会い機能がついています。
”シェイク”のボタンを押してシェイクすると、他のユーザーとつながりチャットを楽しむことができます。
この”シェイク”機能で出会い、結婚したカップルの話もあるくらい若者に人気のサービスです。
QQは、PC用に提供されているメッセージアプリです。
月間アクティブユーザー数が7億83百万人にもなっています(2017年通期)。
ただのメッセージアプリではなく、伝言機能やビデオチャット、ドキュメントや音楽ファイルの共有などの機能もあります。
中国で仕事をするなら”QQ”は、必須ツールです。
最近、スマホの普及もあって”WeChat”にユーザーが流れているようですね。
テンセントの最大の収益源はゲームです。
中国で最も人気のある”王者栄耀(Honor of Kings)”というゲームもテンセントが提供しています。
”王者栄耀”は、プレイヤー同士でチームをつくり、ステージを攻略するオンラインゲームです。
”王者栄耀”はユーザー登録が2億人を突破するなど、中国国内でダントツの人気があります。
あまりにも子どもがゲームに熱中するので「子どもがゲーム依存症になってしまう!」という苦情が親や教師から相次いだため、若者向けに時間制限が導入されています。
12歳未満のユーザーは“毎日1時間”、12歳以上18歳未満のユーザーには“毎日2時間”にプレイ時間が制限されています。
中国のゲームでは、課金対象が服装やアクセサリーになります。
日本のように“課金すれば強くなるゲーム”のような構造にはなっていません。
「王者栄耀」は、あくまでも「楽しむために課金する構造」になっています。
ユーザーは長い時間ゲームしないと、強くなりません。
そのため、プレイ時間が伸びてしまうという弊害もあります。
”WeChat Pay“は、テンセントが提供している決済ツールです。
中国では、コンビニやホテル、タクシー、公共料金、病院、屋台などのあらゆる所での支払いにWeChat Payを利用することができます。
日本のように現金で支払う人が少ない中国では、WeChat Payは決済インフラとして欠かせない存在となっています。
WeChat PayはQRコードを読み取るだけで、支払いが完了します。
簡単に決済できるので、中国で最も普及している決済ツールに成長しました。
最近では、日本の観光地もWeChat Payに対応しているところが増加してきました。
テンセントの1番大きな収益源は”ゲーム”です。
最近、中国では青少年のゲーム依存が社会問題になっています。
中国政府がオンラインゲームに規制措置を強めているのは、テンセントには逆風です。
日本でも人気な”PUBG”や”FORTNITE”、”CALL of DUTY”などのゲームタイトルをおさえているのは大きいですね。
直近の決算(2018/11/15 更新)
テンセントが2018年第3四半期の決算を発表しました。
・売上高 805億95百万元(前年同期比24%増)
・純利益 233億33百万元(前年同期比30%増)
今回の決算内容をみると、状況は事業によって大きくちがいます。
ゲーム事業だけ悪くて、ゲーム事業以外は良いようですね。
・ゲームなどの付加価値事業 440億元(前年同期比5%増)
・オンライン広告事業 162億元(前年同期比47%増)
・その他新規事業 204億元(前年同期比69%増)
広告や決済(その他)などの事業は大きく伸びていますが、ゲームは完全に鈍化していますね。
ゲーム事業が鈍化しているのは、中国政府が規制を強めているからです。
テンセントといえば、オンラインゲームのおかげで大きく成長してきました。
下の図の通り、オンラインゲームを占める割合が34%まで下がってきました。
直近の株価(2018/12/20 更新)
直近6カ月間のテンセントの株価チャートです。
(直近6カ月間のテンセントの株価チャート)
直近6カ月間のパフォーマンスをS&P500と比較しました。
・テンセントの株価:-24.2%
・S&P500指数:-10.4%
(青色:テンセントの株価、赤色:S&P500)
事業別の売上高
事業別の売上高はこちらです(2017年通期)。
・課金サービス 1,539億83百万元
・広告収入 404億39百万元
・その他 433億38百万元
テンセントでは、広告収入がわずか17%しか占めていません。
今後の広告収入の大きな伸びが期待できますね。
バイドゥは、パソコンからモバイルへの転換に失敗して業績を落としましたが、テンセントは、モバイルへの転換に成功して業績を拡大させています。
地域別売上高
地域別売上高はこちらです(2017年通期)。
・中国本土 2,297億67百万元
・その他 79億93百万元
ほとんどが、中国国内の売上になります。
中国国内の市場だけでも、大きく伸びているので業績の拡大が期待できますね。
決算
今回のまとめ
今回の記事のポイントは、こちらです。
・テンセントは、アプリとゲームで収益を稼ぐネット企業
・WeChatは10億人近いユーザーを集客している
・広告収入がわずか17%しか占めていない
・中国で1番のゲーム”王者栄耀”を提供している
テンセントは、メッセージアプリと世界的なゲームタイトルを提供しています。
ネットに必要なコンテンツをすべて揃えており、事業成長に死角がありませんね。
中国国外への進出はすすんでいませんが、中国国内でも成長性は十分あると思います。
全体的に事業は成長していますが、ゲーム以外のマネタイズはすすんでいません。
特に、テンセントの広告事業は成長の伸び余地があると思います。
関連資料
テンセント:『公式HP』
テンセント:『Annual Report』
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過去の決算
2018年第2四半期の決算(2018/08/26 更新)
テンセントは第2四半期の決算を発表しました。
売上高736億75百万人民元(前年同期比30.2%増)、純利益178億67百万人民元(前年同期比2.0%減)でした。
市場予想は、売上高780億人民元 純利益186億人民元だったので、市場予想を下回る決算内容でした。
今回の決算内容が悪かったのは、ゲーム事業が不調だったからです。
ゲーム事業の売上高は420億69百万人民元でした。