目次
ギャップ(Gap)とは
ギャップ(GAP)は、世界最大級の衣料小売チェーンのひとつです。
旗艦ブランドはギャップですが、以下のようなブランドも運営しています。
GAP(ギャップ)
…中価格帯のGAPの旗艦ブランド
バナナリパブリック
…高品質のカジュアルブランド
オールドネイビー
…低価格のカジュアルブランド
アスリータ
…女性向けフィットネスウェアブランド
パイパーライム
…100以上のブランドを運営するセレクトショップ
インターミックス
…全米でセレクトショップ
ギャップが世界的なブランドに成長できたのは、SPA戦略のおかげです。
SPAとは”Speciality store retailer of Private label Apparel”の略称のことで、企画から製造、小売りまでを一貫して行うアパレルのビジネスモデルのことです。
仕入・製造・小売りを自社で一貫しておこない、中間業者を通さないので、マージンを取られることなく利益を確保できます。
さらに自社の店舗で販売できるので、すぐにそのデータを企画に反映することもできます。
1980年代にGAPが世界を席巻したのは、SPAによって消費者のニーズを常に把握しながら利益率を確保できたからです。
現在では、ライバルの”ユニクロ”や”H&M”、”ZARA”などもSPA戦略をとっており、GAPの優位性はなくなってきています。
特にユニクロは、GAPの作り出したSPA戦略をGAPよりも上手く活用している印象があります。
現在のギャップの経営状況は良くありません。
ブランド別にみると、好調と不調のブランドがハッキリしています。
ギャップ
…運営状態は不調で、店舗の整理をすすめている
オールドネイビー
…好調なため、店舗を増やしている
バナナパブリック
…不調で、店舗の整理をすすめている
アスリータ
…好調なため、店舗を増やしている
GAP
GAP(ギャップ)は、GAPの旗艦ブランドです。
服はベーシックなデザインが多く、無地のカラー商品の無難な商品が多いです。
安心して着ることはできますが、その分面白くないという意見も多いようですね。
『Fall into the GAP(GAPにはまる)』広告で一世を風靡しましたが、最近は勢いがないようです。
オールドネイビーよりもちょっと価格帯が高くなります。
オールドネイビー
オールドネイビーは、GAPで最も勢いのあるブランドです。
最近のGAPの決算がそれほど悪くないのは、オールドネイビーが稼いでくれているからです。
GAPの廉価版のようなイメージで良いと思います。
これからのGAPの旗艦ブランドは、オールドネイビーになるかもしれませんね。
米国では絶好調のオールドネイビーですが、日本では撤退に追い込まれています。
日本で上手くいかなかった理由は、ユニクロとGU、H&M、ZARAとの競争が激しくなったからです。
オールドネイビーは、日本で例えるとGUのような存在です。
ATHLETA
アスリータは、GAPの運営しているスポーツウェアです。
ナイキやアンダーアーマー、アディダスのようなイメージです。
ブランド名の通り、スポーツをする人のための服やアクセサリを販売しています。
女性向けのスポーツウェアブランドなので、オシャレにこだわったフィットネスウェアが多いです。
バナナ・パブリック
バナナ・リパブリックは、高価格帯のカジュアルブランドです。
GAPグループの中では高価格の商品が多く、最近はあまりうまくいっていません。
今後、バナナ・リパブリックブランドの店舗は縮小していく方針です。
直近の決算
2019年11月21日(木)の引け後、ギャップが2019年第3四半期の決算を発表しました。
売上高
…39億98百万ドル(前年同期比2.2%減)
純利益
…1億40百万ドル(前年同期比47.4%減)
EPS
…0.53ドル
直近の株価
直近1年間の株価チャートをS&P500と比較しました(2019年11月26日時点)。
・ギャップ -35.2%
・S&P500 +17.2%
(青色:ギャップの株価、赤色:S&P500)
ブランド別の売上高
ブランド別の売上高はこちらです(2018年1月通期)。
ギャップ(Gap Global)
…53億18百万ドル
オールドネイビー(Old Navy Global)
…72億38百万ドル
バナナパブリック(Banana Republic Global)
…23億80百万ドル
その他(Other)
…9億19百万ドル
地域別の売上高
地域別の売上高はこちらです(2018年1月通期)。
米国(U.S.)
…125億68百万ドル
カナダ(Canada)
…11億73百万ドル
欧州(Europe)
…6億41百万ドル
アジア(Asia)
…12億63百万ドル
その他(Other regions)
…2億10百万ドル
店舗網
GAPの店舗網はこちらです(2018年1月通期)。
会社の方針としては、北米・メキシコ・中国に経営資源を集中させていくようです。
決算
今回のまとめ
今回の記事のポイントは、こちらです。
・ギャップは、世界最大級の衣料小売りチェーン
・主力のGAPは不調、一方オールドネイビーは好調
・オールドネイビーとアスリータが好調
・今後は米国・中国・メキシコに注力する予定
ギャップ(GAP)は、世界最大級の衣料小売チェーンのひとつです。
旗艦ブランドのGAPは上手くいっていませんが、低価格のオールドネイビーは絶好調です。
GAPは戦略も価格帯も中途半端な位置にいるので、苦戦しているようです。
”ユニクロ”と”ZARA”、”H&M”と激しい競争を繰り広げているので、今後の業績もちょっと不安に感じています。
関連資料
ギャップ:『公式HP』
ギャップ:『Annual Report』
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過去の決算
2019年8月22日(木)の引け後、ギャップが2019年第2四半期の決算を発表しました。
売上高
…40億5百万ドル(前年同期比2.0%減)
純利益
…1億68百万ドル(前年同期比43.4%減)
EPS
…0.63ドル
市場予想は、売上高40億20百万ドル EPS 0.53ドルだったので、まちまちの内容でした。
傘下ブランドのオールドネイビーの分社化のための設備投資が膨らんだので、減益決算となりました。
旗艦ブランド”GAP”は-7%、”オールド・ネイビー”は-5%、”バナナ・リパブリック”は-3%でした。
決算を受けて、株価は時間外で-2%程度で推移しています。
2019年第1四半期の決算
2019年5月30日(木)の引け後、ギャップが2019年第1四半期の決算を発表しました。
売上高
…37億6百万ドル(前年同期比2.0%減)
純利益
…2億27百万ドル(前年同期比38.4%増)
EPS
…0.24ドル
市場予想は、売上高37億70百万ドル EPS 0.32ドルだったので、予想を下回る内容でした。
決算を受けて、株価は時間外で-13%程度と急落しています。
主力のオールドネイビーの売上高が減少したことが嫌気されていますね。
2018年第3四半期の決算
ギャップは、引け後に2018年第3四半期の決算を発表しました。
・売上高 40億89百万ドル(前年同期比6.5%増)
・純利益 2億66百万ドル(前年同期比16.2%増)
・EPS 0.69ドル
主力のギャップは7%減ですが、オールドネイビーは4%増と好調でした。
2018年第2四半期の決算(2018/08/24 更新)
ギャップは、引け後に第2四半期の決算を発表しました。
・売上高40億8,500万ドル(前年同期比7.5%増)
・純利益2億9,700万ドル(前年同期比9.6%増)
・EPS 0.76ドル
市場予想は売上高40億1百万ドル EPS 0.72ドルだったので、市場予想を上回る内容でした。
2018年第1四半期の決算(2018/05/25 更新)
ギャップ(GPS)は、引け後に第1四半期の決算を発表しました。
・売上高37億8,300万ドル(前期比10.0%増)
・純利益1億6,400万ドル(前期比14.7%増)
・EPS 0.42ドル
市場予想は、売上高36億ドル EPS 0.46ドルだったので、内容はまちまちでした。
決算を受けて、株価はアフターマーケットで−7.7%程度で推移しています。
現在稼ぎ頭のオールドネイビーの既存店売上高が3%増しか伸びていないので、急速に成長が鈍化しています。