目次
エクスプレス・スクリプツ(Express Scripts)とは
エクスプレス・スクリプツ(Express Scripts)は、米国最大のPBM(薬剤給付管理会社)です。
日本にはPBMを提供している大手企業はないので、ちょっとイメージしにくいですね。
米国ではPBMという仲介業者が、保険会社や企業に代わって製薬会社と価格交渉(要は値引き等)をします。
米国では、薬の価格が高すぎることがよくニュースになります。
そのときに製薬会社と交渉をするのが、PBMの企業です。
米国PBMの代表的な企業は、”エクスプレス・スクリプツ”と”ケアマーク”、”オプタムRX”の3社です。
その3社の中の最大手の企業が”エクスプレス・スクリプツ”になります。
エクスプレス・スクリプツは、価格交渉以外にも薬剤給付請求の処理や宅配薬局の運営もおこなっています。
PBMは、企業や保険会社から委託されて処方箋の管理をおこなっています。
膨大な処方箋の情報をもとにして、製薬会社と値引き交渉をします。
値引き交渉の際の大きな武器になるのが、”フォーミュラー・リスト”という推奨医薬品リストです。
”フォーミュラー・リスト”は、PBMが作成する推奨医薬品リストです。
このリストから自社の薬が外されてしまうと大幅に売上が下がるので、製薬会社はPBMの値引き交渉に応じざるを得ない事情があります。
基本的に処方箋の管理数の大きい方が、製薬会社との交渉で優位に立てます。
最大手のエクスプレス・スクリプツは、1番強い価格交渉力があることにあります。
米国の医薬品業界は、ちょっと特殊です。
簡単に分野ごとに分けると、4つに分けることができます。
ややこしいので、まとめてみました。
①製薬会社…薬をつくる企業
…ファイザー、メルク、ギリアド・サイエンシズ
②卸売業者…薬を薬局や病院に卸す企業
…アメリソースバーゲン
③小売業者…薬を販売している企業
…CVSヘルス
④PBM…薬剤給付管理会社
…エクスプレス・スクリプツ
PBM業界は、実質的に”エクスプレス・スクリプツ”と”ケアマーク”、”オプタムRX”の寡占市場となっています。
独占禁止法の観点から、これから業界再編がすすむ可能性もないと思います。
しかし、最近ではPBMの弊害が議論されることがよくあります。
米国では、薬価が不透明に決められている部分が大きいため「きちんと公表してほしい!」という声が大きくなっています。
PBMのやっていることは、1言で説明すると「医薬品の中間業者」です。
もし透明性を求める声が強くなってくると、PBMというビジネス自体が難しくなっていく可能性がありますね。
直近の決算
2018年10月31日、エクスプレス・スクリプツ(ESRX)は2018年第3四半期の決算を発表しました。
・売上高 255億6,320万ドル(前年同期比3.6%増)
・純利益 10億7,160万ドル(前年同期比27.3%増)
・EPS 1.89ドル
直近の株価(2018/12/21 更新)
直近6カ月間のエクスプレス・スクリプツの株価チャートです。
(直近6カ月間のエクスプレス・スクリプツの株価チャート)
直近6カ月間のパフォーマンスをS&P500と比較しました。
・エクスプレススクリプツの株価:+16.3%
・S&P500指数:-8.8%
(青色:エクスプレススクリプツ株価、赤色:S&P500)
事業別の売上高
事業別の売上高はこちらです(2017年通期)。
・PBM事業 952億60百万ドル
・その他事業 48億4百万ドル
決算
今回のまとめ
今回の記事のポイントは、こちらです。
・エクスプレススクリプツは、米国最大のPBM
・日本にはない種類の企業
・PBM業界は、3社の寡占市場
・業績は頭打ちで利益率は高くない
エクスプレス・スクリプツ(ESRX)は、米国最大のPBM。
PBM業界に大手企業は3社しかないので、競争に負けて大きく業績を落とすようなことはないと思います。
ただ、大きく業績が伸びていく感じもしません。
エクスプレス・スクリプツは最大手なので、業界では1番優位に立っています。
関連資料
エクスプレス・スクリプツ:『公式HP』
エクスプレス・スクリプツ:『Annual Report』
注意事項
・当サイトに掲載されている事項は、投資に関する情報の提供を目的に作成したものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません
・当サイトは特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではありません
・最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします
・当サイトでは、債券についての情報を提供しています。
ブログランキングに参加しています。
他の米国株ブログが気になる人はこちらもチェックしてください。
過去の決算
2018年第2四半期の決算(2018/08/02 更新)
エクスプレス・スクリプツが、引け後に第2四半期の決算を発表しました。
売上高256億4,180万ドル(前年同期比1.2%増)、純利益8億7,730万ドル(前年同期比9.4%増)、EPS 2.22ドルでした。
市場予想は売上高254億ドル EPS 2.21ドルでした。
第2四半期の決算を受けて、株価は時間外で+0.8%程度で推移しています。